分館のみよちゃんは知る人ぞ知る工作会ではお馴染みのスタッフです。
工作も得意ですが、とても本好き(物語)でもあります。
今月は、みよちゃん、お勧めの一冊をご紹介します。
青空を背景に、前へと歩みを進める男の子の横顔が爽やかな表紙。どんな本だろう? ワクワクしながらページをめくりました。
主人公のオマールは、アフガニスタンに住む、背の低さを気にしている男の子です。戦争で難民となり、お母さんと二人で新天地イギリスを目指します。しかし、船に乗れるのは一人だけ。オマールは泣く泣く先に船に乗り、お母さんと必ずイギリスで会うことを約束して出発したのでした。ところが不運が続き、船は嵐に遭い転覆。目が覚めた時、オマールは驚きました。浜辺に横たわる自分を囲んでいるのは、とてもとても小さな人たち! オマールはガリバーが流れ着いたリリパット王国に来ていたのです。
「ガリバーの息子」と呼ばれるようになったオマールは、平和を愛するリリパットの人たちに優しく迎え入れられます。リリパットを狙うブレフスキュ国に戦争をやめさせたり、難民キャンプで覚えたクリケットを皆に教えたりと、以前とはくらべものにならないほど満ち足りた日々を送ります。それでも、お母さんのことを片時も忘れることのなかったオマールは、やがて皆に別れを告げ、再びイギリスを目指すのでした。
空想の『ガリバー旅行記』が現実になったような楽しい冒険物語ですが、オマールやリリパットの人たちの姿を通して、戦争の虚しさ、愚かさが描かれています。それを決して重く感じさせずに読ませる作品です。
約300年前に書かれた『ガリバー旅行記』と現代の難民問題がかけ合わさった『ガリバーのむすこ』。
いったいどんな化学反応が生まれるのでしょうか。
対象:高学年~