もしも自分に何か引き寄せる能力があったら、皆さんはどうしますか?
この物語は、そんな引き寄せる能力を持った、呼人(よびと)と呼ばれる人たちの連作短編集。
引き寄せるものは、雨や花に動物、そして自分と同じ人間など、色々。
近くに居ると引き寄せてしまうので、呼人は同じ場所に長期間滞在する事が出来ずに、日本中を旅しながら生活しています。
お金がかかる生活ですが、国に認定されれば、宿泊費や交通費等の支援金が貰えます。
旅行好きの人は、色んな場所に旅ができてお金まで貰えるなんて羨ましいと思うかも知れませんね。
でも、呼人は常にたくさんの危険と隣り合わせ。
たくさんのものを引き寄せてしまうことにより、周りの人とトラブルになるケースもあります。
呼人たちは、自分と他者との違いに悩み、たくさんの問題を抱えながらも、希望を持ち大勢の人と関わり合っていきます。
現実にはありえない話なのに何故か身近に感じてしまうのは、多くの人たちが呼人と同じように、人との関わりで悩みを抱えているからかも知れませんね。
私は呼人たちの前向き生きている姿に、グッときました。
是非多くの方に読んで貰いたい作品です。